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無印都市の子ども @shiomiLP

平成ポップカルチャー と インターネット自由研究

◆10 Favorite Novels of 2012

2012年読んだ小説ベスト10。

 

1:『ひらいて』 / 綿矢りさ

ひらいて

ひらいて

文芸誌『新潮』で一度、単行本で二度読んだ。一年の間に3回読み返す小説なんてこれまで一度もなかった。

綿矢さんは一人称小説(『蹴りたい背中』)が評価されて芥川賞を取り、そのあと『夢を与える』で三人称への移行に挑んだあたりからスランプっぽかった。でもその後一人称に戻してからは『勝手に震えてろ』『かわいそうだね?』などすごく早いペースで執筆し、どれもほんと面白い。その中でも『ひらいて』は最高傑作だと思う。

 

 

2:『コカイン・ナイト』 / J・G・バラード

コカイン・ナイト (新潮文庫)

コカイン・ナイト (新潮文庫)

「バラードすげえ」と何度も呟きながら読んだ。村上龍曰く『テニスというスポーツは、王侯貴族たちが退屈な日々をやり過ごすために発明したスポーツ』だそうだ。クロフォードにもってこいのスポーツだと思う。

今の日本、特にネット内で沸き起こる「叩く」という行為に、本書における「犯罪」に近いものを感じる。東京をはじめとする日本の街が、着実にバラード的な都市に向かっている気がしてならない。来年は積読している『スーパーカンヌ』や『クラッシュ』も読みたい。

 

 

3:『美しい馬の地』 / 舞城王太郎

短篇五芒星

短篇五芒星

短篇集として芥川賞候補にノミメートされた(受賞は『冥土めぐり』。これも読んだがとても良かった)。短篇集の中の一つ、「美しい馬の地」だけなら受賞していたと思う。舞城はすごい。

 

 

4:『羊をめぐる冒険』 / 村上春樹

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

前作二作に比べて、すごく物語の型にはまっているなぁという印象。

猫のいわしがそうであるように、意志を持って動くものには名前がなくてはならない。村上春樹の三部作小説の登場人物、僕と彼女と彼女たちに、最後まで名前はなかった。

 

 

5:『夏が僕を抱く』 / 豊島ミホ

夏が僕を抱く (祥伝社文庫)

夏が僕を抱く (祥伝社文庫)

夏の爽やかさの中にダルさがあって、とても好き。

豊島さんの描く夏のは、きっと誰の記憶にもある夏で、でもそれは誰しもが記憶でしか持ってない夏だと思う。

 

 

6:『泥の河』 / 宮本輝

蛍川・泥の河 (新潮文庫)

蛍川・泥の河 (新潮文庫)

胸が潰れる。ラムネ壜を川に投げ捨てたくなる気持ちには見覚えがあるので、とても理解できる。

 

 

7:『わたしを離さないで』 / カズオ・イシグロ

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

これを上位に持ってこないと「こいつ分かってない」と思われそうだが、僕は気にしない。

100年経っても色褪せない!みたいな小説がある一方で、「このタイミングで読んでおくべき本」ってのもあって、これは後者タイプの小説だわーと感じた(そして残念ながら遅かったみたい)。

作家がクローンを描くのなら、クローン達の反逆や脱却の成功/失敗を物語るのが一般的なのだろうけど、実際はきっとこうして世界の不条理なルールを受け入れてしまうんだろうなぁと思う(押井守監督の『スカイ・クロラ』もこんな感じだったような)。

「生まれてきた意味」を探す人はいつの時代もいるけど、あったらあったで虚しいものなのかもですね。

 

 

8:『星の海にむけての夜想曲』 / 佐藤友哉

星の海にむけての夜想曲 (星海社FICTIONS)

星の海にむけての夜想曲 (星海社FICTIONS)

世界観がとても好き。しかし、今更こんな内容のフィクションを描く意味はあるのだろうか。『漂流教室』や宮崎駿の『on your mark』のように、それが現実に起きてしまう前に描いてこそ“作家”だと思うんだ。でも好き。

 

 

9:『真鶴』 / 川上弘美

真鶴 (文春文庫)

真鶴 (文春文庫)

 (解説で言うところの「嘘」の言葉でしか僕は文章を書けないんだけれども)京が往来する冥界と日常世界とに明確な境界線はなくて、ゆらゆら揺らいでいて、人と人でないものが混じり合っている事を肯定している。ある程度酔ってしまわないと、川上弘美の物語にはついていけない(←あえてひらがな!)と思った。

あちらの世界の都合は解明されないけど妙に惹かれてしまって影を追ってしまう精神状態は、内田百間宮本輝の『幻の光』、よしもとばななの『アムリタ』の感覚に似てる。

電車は文学的な乗り物だなぁと改めて感じた。車で真鶴へは行けない。

 

 

10:『都市と都市』 / チャイナ・ミエヴィル

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

ヒューゴー賞・世界幻想文学賞ローカス賞・クラーク賞・英国SF協会賞受賞作品。

男子と女子が同じ教室で着替えていたあの頃を思い出したよ。

 

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