無印都市の子ども

平成ポップカルチャー と インターネット自由研究

「ボーカロイド」と「ボカロ」の違いについて

 

たとえば「サブカルチャー」と「サブカル」がそうであるように、「ボーカロイド」と「ボカロ」という言葉も、それぞれ異なる意味/ニュアンスが生じ始めているように感じます。

ミクの日らしい話題です。

 

 

ボーカロイドの文化

まずボーカロイドの意味をWikipedeaから引用します。

VOCALOIDボーカロイド)とはヤマハが開発した音声合成技術、及びその応用製品の総称である - (http://ja.wikipedia.org/wiki/VOCALOID)

誰でも自由にボーカロイドに歌わせることができ、その楽曲を元に二次創作、n次創作(例えばアニメーション動画作ったり、絵を描いたり、踊ってみたり、歌ってみたり、コスプレをしてみたり)が行われている。これが本来の意味での「ボーカロイド」の文化だと思います。

 

 

ボカロの文化

上記の意味での「ボーカロイド」とは別の文化として、「ボカロ」があります。単純にかわいいキャラクター、無料の音楽としては初音ミクを消費するだけ文化です。

最近小学生の女の子と話す機会があって、その子は初音ミクが大好きらしく、「千本桜」という曲が「めっちゃいい」らしいです。しかしその子は、ボカロ好きを自称しているにも関わらず「初音ミクというソフトを使って一般人が楽曲を作っている」という事を知りませんでした。今の小学生が「ボーカロイド」についてどれくらいの知識があるのか分かりません、その子がたまたま無知だっただけかもしれません。

でもボーカロイドの認知度やその子の無知がこの話のポイントではなく、「ボーカロイド」について知らなくても「ボカロ」を楽しめるという点が、まったく異なる文化圏であることを証明しているのではないでしょうか。

 

 

りぼんとボカロ

少女マンガ誌「りぼん」(集英社)4月号に、ボーカロイドを特集した小冊子「りぼん×初音ミク ボカロ完全攻略ハンドブック」が付録として封入されています。

内容は以下の通り。

【小冊子では、ボカロについて「ボカロソングはカラオケでも定番になるくらい、今大人気なんだよ☆」と説明。酒井まゆさんや槙ようこさんらマンガ家が、初音ミク鏡音リンなどボカロキャラクターのイラストを描いているほか、「みくみくにしてあげる(してやんよ) 」など人気曲を紹介。また、キャラクターを紹介するとともに、「ボカロキャラ占い」「ボカロ3択クイズ」など少女マンガ誌ならではの企画も用意されている。】

(「初音ミク:ボカロ特集が「りぼん」の付録に 広がる10代女性の支持」 - 毎日jp http://mainichi.jp/mantan/news/20130301dyo00m200047000c.html より引用

 

これは完全に「ボカロ」の文化ですよね。n次創作的な文化には触れていません。

つまり、『りぼん』読者にウケているのは、バーチャルアイドルとしての初音ミク(ボカロ文化)であり、“初音ミク”というアイコン(プラットホーム)の元に集結するクリエイターとファンによる生態系(ボーカロイド文化)ではないというわけです。

くり返しになりますが、ボーカロイドの認知度や無知がこの話のポイントではなくて、「ボーカロイド」について知らなくても「ボカロ」を楽しめるという点が大事なのです。

つまり、別に「ボカロの文化」が浅いとかボーカロイドの本質を分かっていないとか言っているわけではないってことです。

 

 

海外における初音ミク

ただ、一つ問題があるとすれば、海外での初音ミクのウケ方も「ボカロ」的であることです。

アニメやマンガをはじめとする日本のポップカルチャーが海外でも大人気!という言葉をどこまで信じていいのか僕には分かりませんが、少なくとも初音ミクが一部でウケているわけで。けれど、それは「ボーカロイド」ではなく「ボカロ」として、Kawaiiキャラクターとしてウケているだけのようです(という内容の記事を何かで読んだんだけどまったく思い出せない。ごめんなさい)。

海外からのn次創作が活発になるとますます初音ミクは天使になっていくと思うので、ぜひ「ボーカロイド」として初音ミクを広めてほしいと単純に思います。

 

 

ボーカロイドとしての初音ミクを世界へ

では、どのようにして「ボーカロイドとしての初音ミク」を海外にも広めるか。

それは商業的な話になるので、僕の得意分野ではありません。

なので、その事についてはこの本を読んでみてください。

日本文化の論点 (ちくま新書)

日本文化の論点 (ちくま新書)

著者の宇野常寛さんがどういう事を言っているのかをざっくり説明するために一文だけ引用します。

【単に作品(ソフトウェア)だけを輸出するだけでは不十分で、消費環境とコミュニケーション様式(ハードウェア)を輸出してはじめてその表現の輸出は成立する】

(『日本文化の論点』P.36 より引用)

このブログ記事に当てはめて言えば、初音ミクだけを輸出しても仕方なく、初音ミクを使ってn次創作を発表できる場(たとえばニコニコ動画やPixiv)なども一緒に輸出しないとね、ということです。

それが出来てようやく「ボーカロイドとしての初音ミク」が世界でウケていると言えるんだと思います。

そうなれば、とってもクールですね。

 

初音ミク 公式ガイドブック ミクペディア (CD付き) (マガジンハウスムック)

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「Re:Dial」<期間限定盤 CD+DVD>

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日本文化の論点 (ちくま新書)

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りぼん 2013年 04月号 [雑誌]

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