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形骸化する“本屋大賞”

 

芥川賞直木賞に次いで知名度の高いであろう本屋大賞のノミネート作品が発表されました。

影響力だけで計るとおそらく日本一の文芸賞で、受賞すれば一気に部数は伸びます。無名作家も一夜でシンデレラ……であるはずなのですが、明らかに「本屋大賞」というシステムが破綻して始めているよねっていう話を書きます。

本屋大賞を批判しているように読める記事かもしれませんが、ディスるどころかむしろこんな良い賞を惰性で続けて賞味期限切らしてしまうのはもったいないという気持ちのほうが大きいです。

 

 

そもそも本屋大賞はどういう賞なのか

本屋大賞とは、書店員が「売りたい本」を選ぶ賞です。「売りたい」とは「今は売れていない」ということ、つまり「面白いのにまだ多くの人に読まれていない本を選ぶ」ということです。

 

では、今回のノミネート作品を見ていきましょう。

 

教場長岡弘樹

教場

教場

2011年に発売された『傍聞き』が『おすすめ文庫王国2012』の国内ミステリー部門で第1位に選ばれ、ロングセラーとなり39万部を超えるヒット。

 

 『去年の冬、きみと別れ中村文則幻冬舎

去年の冬、きみと別れ

去年の冬、きみと別れ

 

芥川賞作家。第26回野間文芸新人賞受賞・第4回大江健三郎賞受賞。

 

  『さようなら、オレンジ岩城けい(筑摩書房)

さようなら、オレンジ (単行本)

さようなら、オレンジ (単行本)

 

先日発表の芥川賞候補。

 

島はぼくらと辻村深月講談社

島はぼくらと

島はぼくらと

 

直木賞作家。

 

  『聖なる怠け者の冒険森見登美彦朝日新聞出版)

聖なる怠け者の冒険

聖なる怠け者の冒険

 

山本周五郎賞受賞作家。代表作『夜は短し歩けよ乙女』はごめん何万部売れたのか調べたけど出てこなかった。でも100万部は余裕で超えていると思います、はい。『ダ・ヴィンチ』調べ好きな作家ランキング男性編第5位。

 

  『想像ラジオいとうせいこう河出書房新社

想像ラジオ

想像ラジオ

 

芥川賞候補・三島賞候補。

 

 『とっぴんぱらりの風太万城目学文藝春秋

とっぴんぱらりの風太郎

とっぴんぱらりの風太郎

 

先日発表の直木賞候補作。

 

 『村上海賊の娘』和田竜(新潮社)

村上海賊の娘 上巻

村上海賊の娘 上巻

 

 2007年『のぼうの城』が200万部超えしたベストセラー作家。

 

 『昨夜のカレー、明日のパン木皿泉河出書房新社

昨夜のカレー、明日のパン

昨夜のカレー、明日のパン

 

向田邦子賞。2年連続ギャラクシー賞優秀賞。啓文社イチおし大賞2013小説部門大賞受賞作。王様のブランチ(TBS系列)BOOKアワード2013大賞受賞作。

 

 『ランチのアッコちゃん柚木麻子双葉社

ランチのアッコちゃん

ランチのアッコちゃん

 

発売からわずか4か月で10刷10万4000部に達するベストセラー。

 

 

どの作家さん/作品にもすでに輝かしい経歴/受賞歴などがついており、エンタメ系の小説に疎い僕であってもほとんど知っている作品ばかりです。というかすでに本屋さんで平積みされているものばかりですよね。つまり「もう売れてる本」ばかりなのです。

 

 

形骸化する本屋大賞

なぜそうなっちゃったのでしょうか。

要因の一つは、投票する書店員の増加だと思われます。

第一回では299人の書店員がエントリー。第二回は269人、第3回368人、第4回779人、第5回1,037人、第6回1,072人、第7回1,157人と増え続けています。

それだけ投票する人数が増えるとなると、自然と「もともとから多くの人に読まれている本」に票が集まりやすくなるのは当然ですよね。

単純にエンタメ系作家の人気投票大会に成り下がってしまっていると思います。

 

本屋大賞は、普段本を読まない人達に小説を薦めるキッカケになっているとは思いますが、そのコンセプトなら「書店員が選ぶ」意味がないよなぁと思うんですよね。

「書店員が選ぶ」というのは「なんかたくさん本読んでそうな人達が選ぶ」ということなので、『ダヴィンチ』の年間ランキングと大差ないものであれば賞の価値は遅かれ早かれ枯れると思います。

 

 

本屋大賞の今後

本屋大賞はこれからも影響力を持ち続けると思いますが、徐々に皆飽きてくるというかつまらなくなってくると思います。まぁ、賞の形だけは残って、発表があればメディアで報道されて、受賞作の部数も伸びるとは思いますが、特に新しい風を吹かせるわけでもない感じが続くのではないでしょうか。うん、まるで芥川賞じゃないですかそれ。

 

個人的には、重版されていない本や3万部以下の本から選ぶというようにルールを変更していくか、あるいは「今売れている小説に賞をあげるのが本屋大賞だよ」と割り切ってしまうことが必要なのだと思ってます。まぁそんな賞に誰が興味持つか分かりませんけど。

 

<了>

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