文学
書店員を辞めました 退職エントリを書くことに小さな憧れがあったので、退職が決まったときから「どんなこと書こうかなぁ」とぼんやりと考えていたのだけど、でもよく考えてみるとネット上から職場に対して言いたいことなんて何ひとつなかった。 しかし、書…
第159回の芥川賞候補作を読みました。 高橋弘希「送り火」(文學界5月号) 町屋良平「しき」(文藝夏号) 古谷田奈月「風下の朱」(早稲田文学初夏号) 松尾スズキ「もう「はい」としか言えない」(文學界3月号) 北条裕子「美しい顔」(群像6月号) 全体的…
このあいだ、ちょっとした用事のあとに友人とクリスピークリームドーナツに寄った。ぼくはキャラメルウォールナッツが好きで、ほんとはそれをふたつ食べたいのだけど、同じものをふたつ注文するのはすこし気恥ずかしい。複数個のドーナツを注文するのなら、…
今更ながら、2017年のベストセラー『夫のちんぽが入らない』を読んだ。 去年自分がいろいろと考えていたことと、ほぼ同質の悩みであり、自分とかなり近い問題意識を持った作家であったと知って、「もっと早く読めばよかったな」と思ったのだが、まぁ別に今か…
今村夏子は芥川賞を受賞する 書店員という職業柄、このブログでは「小説」について書くことが多いのだけど、ひとつの文芸作品だけを扱った記事はあまりなく、しかも同じ著者の作品を二度扱うなんてのはかなり稀なことだ。*1 星の子 作者: 今村夏子 出版社/メ…
出だしよければ全てよし 書き出しは小説の命だ。そう主張する作家は多い。 物語の冒頭は、読者にとっても重要な部分で、買おうか悩んでいる本を本屋でぱらぱらと立ち読みをするとき、チェックするのはやはり書き出しだろう。 その書き出しの文章が良いもので…
文学界に流入する才能たち 芥川賞を受賞したお笑い芸人・又吉直樹をはじめ、山周賞候補になった押切もえ、伊藤計劃のトリビュートに参加したぼくのりりっくのぼうよみ、文芸誌「文學界」にエッセイを寄稿したSEKAI NO OWARI・Saoriなど、他ジャンルの第一線…
テレビもネットも彼女のTwitterも、発売日が2月17日であることを強調して伝えているので、地方の書店で働くぼくは、今朝から「千眼美子の本ある?」「幸福の、科学?のアレ、ありますか」という問い合わせを何件も受けることとなった。 実際に全国の書店に並…
読書芸人とあひる 『アメトーーク』で紹介された今村夏子著『あひる』が、単行本として発売になった。 あひる 作者: 今村夏子 出版社/メーカー: 書肆侃侃房 発売日: 2016/11/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ようやく発売になりました。いま…
ボブ・ディラン氏にノーベル賞、文学界で賛否噴出 今年のノーベル文学賞に米歌手のボブ・ディラン氏(75)が選ばれたことを受け、文壇には「衝撃が走った」と言っても、まだ控えめな表現になるだろう。 フランスの小説家、ピエール・アスリーヌ氏はAFPに対し…
『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』――作品を重ねるに連れて徐々に観る人の幅や世代を広げ、いわゆる「国民的」な作家になりつつある細田守監督。 彼の作品には、常に<文学作品のモチーフ>や<文学に対する敬愛の念>が含まれ…
月が綺麗ですねの構造 英語教師をしていた頃の夏目漱石が、「I love you」を「我君を愛す」と翻訳した教え子を見て、「日本人はそんなことは言わない。月が綺麗ですねとでも訳しておけ」なんて言ったという逸話がある。 文豪が遺した詩的な愛の伝え方として…
先日公開した記事『新海誠『秒速5センチメートル』に登場する本を解析してみた』が予想以上に多くの方に読んでいただけて、なんとTwitterで新海誠監督ご本人にコメントまでいただきました。 嬉しいことだらけで感無量です。ありがとうございます。 自分でも…
新海誠監督作品の特徴の一つとして<細やかで美しい風景描写>があります。定評のある<自然風景>に劣らず<都市風景>や<日常風景>の描写にも細部まで情報が行き届いており、何気なく描かれた本棚に収められている本や登場人物が手に持つ本のタイトルは…
僕には青春がなかった。自分がもっとも美しかった頃、輝いていた頃のことを「青春」と呼ぶのだとすれば。 10年前。15歳の時に高校中退して、それからずっと何年も暗闇の中にいた。生活と呼べる生活ではなく、常に昼夜逆転、ずっと何もせずに過ごしていた。そ…
作家・紗倉まな AV女優・紗倉まなさんをご存じでしょうか。 このブログで紹介するのは2度目ですね。 明石家さんまが彼女の事が好きだとテレビで公言したり、TOYOTAの広告に起用されたり、自身の高専生時代や職業について綴った著書を出版したりと、セクシー…
文學界 『文學界』(文芸春秋)という文芸誌に僕のブログ内容が載りました、という報告です。 文學界2015年7月号 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/06/05 メディア: 雑誌 この商品を含むブログ (3件) を見る 馴染みのない人にとってはきっと触ったこ…
すっかり秋になり、書店から夏の文庫フェアがぽつぽつと姿を消し始めていますね。 新潮文庫夏の100冊 http://100satsu.com/ 角川文庫カドフェス http://www.kadokawa.co.jp/hakken/kadofes/summer/top/index.php 集英社文庫ナツイチ http://natsuichi.shueis…
普段あまり読書しない人におすすめの本 30選 | ギャザリー あまり本を読まない中学生・高校生が、夏休みに何か一つ小説を読んでみようと思ったときにお薦めしたい厳選10作 - いつか電池がきれるまで 俺選:普段読書しない人におすすめの本 30選 こういう…
川端康成著『雪国』の冒頭文は主語が欠落している。 作者である川端康成が書いた文章に主語がないのだから、「その文章に主語は不要」というのが唯一無二の正解だとは思うが、その文章に当てはまる主語がどこかに存在すると仮定して。
AV女優・紗倉まなさんをご存じでしょうか。 明石家さんまがテレビで彼女の事が好きだと明言したり、TOYOTAの広告に起用されたり、自身の高専生時代や職業について綴った著書を出版したりと、DVD以外のメディアにも開けたAV女優さんです。 そんな彼女がTwitte…
芥川賞・直木賞に次いで知名度の高いであろう本屋大賞のノミネート作品が発表されました。 影響力だけで計るとおそらく日本一の文芸賞で、受賞すれば一気に部数は伸びます。無名作家も一夜でシンデレラ……であるはずなのですが、明らかに「本屋大賞」というシ…
潮見さんが2013年に読んだ小説のベスト10です。 楽しいよねこういうの。ひとのを見るのも好きです。
田中慎弥著『共喰い』・鹿島田真希著『冥土めぐり』と、なかなか好みの作品が続いている芥川賞。 今回受賞した藤野可織さんの『爪と目』。 爪と目作者: 藤野可織出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/07/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見…
朝井リョウさんの新作『世界地図の下書き』がとても良かったので感想書きます。 直木賞第一作が近藤勝也(ジブリ)の装丁なんてズルい!笑 世界地図の下書き作者: 朝井リョウ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2013/07/05メディア: 単行本この商品を含むブログ…
村上春樹の新刊を発売日に購入して読むのは実は初めての体験で、「早く読みたい!」というこのわくわく感はちょっと他の作家さんでは味わえないなぁと思いました。 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年作者: 村上春樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日:…
ドキッ!アイドルだらけのヒットチャート 2012年のCD年間売上ランキングが発表になりました。 (http://www.oricon.co.jp/music/special/2012/musicrank1220/index01.html) もう「見たよ」って人は多いと思いますが、結果は1位から30位までのほとんどをアイ…
2012年読んだ小説ベスト10。 1:『ひらいて』 / 綿矢りさ ひらいて作者: 綿矢りさ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/07/31メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 36回この商品を含むブログ (28件) を見る 文芸誌『新潮』で一度、単行本で二度読んだ。一年…
直近の芥川賞作家50名の作品が電子書籍としてKindleストアに並んでいるのかを調べてみました。 直近でないけど今も人気の芥川賞作家も調べました。 (新しい受賞者から下っていきます) 鹿島田真希 田中慎弥 円城塔 西村賢太 朝吹真理子 赤染晶子 × 磯崎憲一…
コミュニケーションの為の小説 たとえば、芥川賞受賞作(純文学と呼ばれるもの)の楽しみ方は「自分と作品(作者)との対話」 だったと思います。だから読者にとってその本が「売れている」ことや「話題である」ことはあまり関係がありません。「自分の好き…