高畑勲監督の映画『かぐや姫の物語』を観てきました。
僕は今年の夏に、宮崎駿監督『風立ちぬ』を同じ映画館(難波OIOI)で観たのですが、その時と比べて、今回は子どもが少なかったです。同じ列に小学生の女の子が一人座っていただけでした。
むしろ『かぐや姫の物語』こそ子どもに観てもらいたい作品だと思ったのですが。うーん。。。
水彩画のような画
予告動画からも分かるように、映画全編がスケッチのような水彩画のような画です。
- 「これを長時間観られるのかなぁ」という不安があったのですが、全然余裕で137分間、観続けられました。
常に線が揺らぎ、人物の表情が固まらない映像は、飽きるどころか、むしろずっと観ていたい。ずっと観察していたい。
声優・朝倉あき
主要人物の声優を有名俳優で固める最近のジブリには賛否両論ありますが、今回『かぐや姫の物語』のかぐや姫役を演じた朝倉あきは、完璧でした。
若手女優として推されながらもなかなか知名度を上げられていない朝倉あきさんでしたが、こんなにも声優が上手だとは…!
天真爛漫で野生児的な活き活きとした声と、気品ある姫としての女性声、その両方を出せるし、その二つにくっきりとした境界線がなく、滑らかに使いこなす。
またジブリ映画に呼ばれそうですね。
ちなみに僕は朝倉あきさんのことを『とめはねっ!』の頃から大好きです。
他の声優陣も素晴らしく、特に注目は、かぐや姫の育ての父である翁役の地井武男さん、相模役の高畑淳子さん。
『風立ちぬ』よりもずっと面白い。
同じジブリであっても、宮崎駿に比べて少しクセのある映画を作る印象のある高畑勲監督ですが、『かぐや姫の物語』は普通にエンターテイメントとして面白かったです。
何度か笑い声が起こるところがあって、こんなにも高畑勲監督に笑いのセンスがあるなんて知りませんでした。
また、作中で重要な役割を果たす歌『わらべ唄』『天女の歌』は高畑勲監督の作詞・作曲だそうです。これがとても良い。てっきり久石譲かと…。
古典特有の湿っぽさや難解さはなく、むしろ軽くてポップ。登場人物の喋り言葉は現代語過ぎるくらいでした。
もし、「ジブリっつっても宮崎駿じゃないし、竹取物語ってなんか興味持てないわ」なんて思っているのなら、それはとても勿体ない。純粋に娯楽作品として比べた時に、『風立ちぬ』よりも『かぐや姫の物語』のほうがずっと面白いと僕は思います。もう一回観に行きたい。
古典としての『かぐや姫の物語』
僕らは古典としての『竹取物語』を知ったうえで『かぐや姫の物語』を鑑賞するわけですが、『竹取物語』をまだあまり知らない子どもが観ても楽しいし、「『竹取物語』は高畑勲監督の映画で知りました」という体験は割と良いんじゃないかってくらい良質な映画だったと思います。
『竹取物語』という古典作品をリメイク/アニメ化したわけですが、いつか高畑勲監督作『かぐや姫の物語』も古典アニメとなる。僕はそう思ってます。
観ようか悩んでる人に一言だけ告げるとすれば、この映画はキワ物ではなく、古典となりうる作品だということです。
普通に面白いので、お子さんいるなら連れてってあげて!><
<了>
ネタバレ有りverも書きました。 →『かぐや姫の物語』観てきたよレポート【ネタバレ有りver】