傑物
けつ‐ぶつ【傑物】
秀でた人物。傑出した人物。
乃木坂的な匿名美少女のシルエットを踏襲した上で、別の進路を開拓するその第一歩として、デビュー曲『サイレントマジョリティー』がYoutubeに公開されました。
その動画の中で、真ん中で踊る平手友梨奈さんの存在が強烈すぎて、その子の記事を書くに至りました。
司会者「今回は潮見さん達ての希望で<一人対談形式>での記事となります」
潮見「よろしくお願いします」
司会者「<一人対談形式>はkenzeeさんやレジーさんが採用しているものですね。何故また今回このような形に?」
潮見「いやね、考え方が時代遅れで古臭いのは分かってるんですけど、自分が大真面目にアイドルを語ることに関して<恥ずかしい>という感情が僕の中にまだありまして、一人対談形式なら少しはその照れをキャンセリングできるかと思った次第です」
司会者「あぁ、もう、むしろその考えがむしろ恥ずかしいですもんね……」
潮見「おっしゃる通りです。むしろって二回言いましたね」
司会者「そんな潮見さんが今回、普段のブログとは異なる形式を使ってでも語りたいアイドルというのが欅坂46」
潮見「はい。欅坂46そのものも魅力的ですが、特に語りたいのはそのグループに所属する平手友梨奈さんですね」
司会者「どのような人でしょう」
平手 友梨奈(ひらて ゆりな、2001年6月25日 - )は、欅坂46のメンバー。愛知県出身。
司会者「中学二年生、2001年生まれ」
潮見「21世紀生まれですね」
司会者「若い」
潮見「欅坂46の、いわゆる<センター>と呼ばれるポジションで踊っている女の子です」
司会者「センター、ですか」
潮見「欅坂46のデビュー曲『サイレントマジョリティー』のMVをYoutubeで観て以来、僕は平手さんに心酔してしまっています。かっこよすぎて。背が高くて、歌声が低く、澄ました表情が画になる女の子をセンターに据えられている構図にとてもときめいています」
司会者「潮見さん、もしかしてショートカットの女の子……」
潮見「はい好きです」
司会者「ですよね」
潮見「たぶん秋元康さんもショート好きですよね」
司会者「よくグループの真ん中にショートの女の子を配置しますね。お嬢さんっぽい女の子たちの真ん中に、異物っぽいものを置いている印象です」
潮見「ただ今までは比較的小柄で、クラスの中心にはいないであろう女の子がセンターに配置されていたように思います。前田敦子然り、生駒里奈然り」
司会者「しかし今回、強いですよね、平手さん」
潮見「超強い。アイドル界のイブラヒモビッチになりますよ」
司会者「ちょっと意味がわかりませんが」
潮見「それくらい期待してる」
司会者「大物になりそうですか」
潮見「AKBファンの方がよく仰る<エースの風格>や<センターの器>というものは、<佇まいの美しさ>に由来するものだと僕は思うんです」
司会者「ルックスやスタイルの話ではなくて」
潮見「はい。だから、たぶん、矢面に立つ者の宿命として、これから<かわいくない>や<ダンスへた>などを理由に<センターから降りろ>と避難されると思いますが、*1それはすべて見当違いな話なわけです」
司会者「しかし今回の楽曲は、製作者側の全面バックアップによって平手さんの<佇まいの美しさ>≒<センターらしさ>を引き出そうとしている曲ですよね。そうでなくなった時、別のテイストになった時にどうなるかが気になります」
潮見「そうですね。MVをよく見ると、平手さんの両サイドに背の低い女の子がいるんですよね。彼女たちがいるから、平手さんが大きく見えて、より魅力的に映える。中心の3人だけを切り取って見ると、構図はBABYMETALのようですね。
潮見「いずれにせよ、乃木坂的なシルエットの少女たちの真ん中に、背の高い女の子が力強く立っている姿はクソかっこいいです。か弱そうな子がセンターの重圧に耐えながら・・・みたいな物語を一蹴しそう」
司会者「MVでも平手さんが力強く闊歩するシーンが多いですね」
潮見「ダイスも衣装も軍隊っぽくて、逆に女の子っぽさやアイドル性が際立っている気がします」
司会者「あー潮見さん。アイドル性とか、それっぽい言葉でそれっぽく言うのズルいですよ」
潮見「うーん。例えば僕が女装するとするじゃないですか」
司会者「するんですか?」
潮見「しないです。仮にearth music&ecologyのワンピースを着たとして」
司会者「かわいい」
潮見「そしたら当たり前だけど違和感が満載で、僕の身体が持つ男性っぽさが嫌でも目立つを思うんですよ。男物の洋服を着ている時よりも一層<男性性>が強調される」
司会者「なるほど」
潮見「女性の服装と年齢の関係もそうだと思うんです。40代の女性が、20代が着るような若々しい洋服を着ると余計に老けて見えてしまう。ほら、セーラー服を着た20代後半の女性って無駄におばさんっぽく見えますよね、おばさんって年齢では全然ないはずなのに」
司会者「当人とは正反対なものを着飾ることで、当人が持つ女性性/男性性や年齢がより一層強調される」
潮見「今回の話で言うと、軍隊っぽさが逆に女の子の魅力を引き出してる」
司会者「潮見さんはそっち系が好きですよね。カーテンでぐるぐるする女の子よりも」
潮見「平手さんがカーテンぐるぐるしてても僕はたぶん全然グっと来ないですね」
渋谷
司会者「MVの撮影場所は再開発で工事中の渋谷駅だそうで。渋谷はずっと再開発してますね」
潮見「むしろ僕は再開発中の渋谷しかむしろ知りませんよ」
司会者「むしろって二回言いましたね」
潮見「若者文化の拠点が、新宿→原宿→渋谷→秋葉原と続いた中で、10年代はまた渋谷に帰ってきたような気がします」
司会者「そうですか? というかあなた大阪の人ですよね」
潮見「昔から渋谷はいろんな物語の舞台になり得た街だったとは思いますが、近年は特にいろんな分野のクリエイターが渋谷の街を象徴的に扱うようになったと感じるんです。DAOKOの顔出し一発目の曲は『ShibuyaK』、ぼくのりりっくのぼうよみの『sub/objective』のMVも渋谷。細田守監督の映画『バケモノの子』も渋谷を舞台に選びましたね。あと、ハロウィンが祝祭の舞台として渋谷を選んだというのも割と象徴的な事象だと思います」
司会者「そういえば『サイレントマジョリティー』の冒頭は《人が溢れた交差点を どこへ行く?》ですね」
潮見「渋谷はあのスクランブル交差点が街の谷底になっていて、そこから全方位に向かって上り坂なんですよ。だからなんだって話ですけど。あ、そうだ、あとこれも渋谷」
潮見「思いつきの考察ではありますけど、<世界から見た日本/TOKYO>をクリエイターが意識したときに、このスクランブル交差点に回帰してきたんじゃないかと思うんですよね」
司会者「外国人にスクランブル交差点がとても人気みたいですね。観光ガイドブックにも載ってるとか」
潮見「外国人の映画監督が東京を撮ると必ず登場しますからね、この交差点」
司会者「そういえば少し前にこんなつぶやきを残していましたね」
海外の人が日本カルチャーを見て楽しんでるポイントって「クール」でも「カワイイ」でもなくて、「クレイジー」と「カオス」なんじゃないの。とずっと思ってる。
— 潮見惣右介 (@shiomiLP) January 26, 2016
潮見「あの交差点はたぶん、カオスでクレイジーなんでしょうね。外国人の目から見ると。渋谷のハロウィンなんてめちゃくちゃカオスでクレイジーなので絶対に観光化させるべきだと僕は思いますけど」
司会者「そんな2020年に向けてTOKYOカルチャーの発信地になるであろう渋谷を舞台に選んだ欅坂46。というか選んだからこそのこの名前なのですが」
潮見「きゃりーぱみゅぱみゅが原宿のアイコンになったように、平手さんが渋谷のアイコンになってくれればいいと勝手に妄想してます」
司会者「少なくとも、次の世代の旗手にはなってくれそうですね」
潮見「勝手に変な期待をするのも悪いし、まぁなってくれたら嬉しい、くらいで」
司会者「今日はありがとうございました」
潮見「ありがとうざいました」
<了>