無印都市の子ども

まなざしのゆくえ

ラピュタのような廃墟島“友ヶ島”に行ってきた。

探検レポvol,1、<地上のラピュタ>と呼ばれる和歌山県の無人島「友ヶ島」を探検してきました。

写真たくさん撮ってきたよ。道中、小雨が降ってきて島への上陸を諦めかけたけど、なんとか晴れてくれました。

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友ヶ島 - Wikipedia

明治時代に大日本帝国陸軍によって、外国艦隊の大阪湾進入を防ぐ目的でこの島に砲台や防備衛所が造られた島。第二次世界大戦まで一般人は立入禁止、当時の地図からは存在が消された、謂わば<幻の島>。

対艦用に造られた砲台が実際に使用されることはなく終戦を迎え、戦後友ヶ島全体が瀬戸内海国立公園に指定。そのため今でも要塞施設や大砲の跡地が多数残っており、手付かずのまま自然に侵食された赤レンガの佇まいが『天空の城ラピュタ』のようだと話題に。

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廃墟島

島に上陸するとまず案内板や海の家がある。

基本的にはここから島を反時計回りに巡ってゆく。

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観光地っぽく案内板などがあったのは島の入口のみで、少し歩くともう廃墟だらけ。

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コカコーラの自動販売機もこの通り。

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落石もあるらしい。

今朝雨が降ったことに加えて、先日和歌山で震度4の地震があったところだったので、ビクビクしながら歩いた。

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道はずっとこんな感じ。

スニーカーで行けなくもないが、下り坂は正直言って足痛かった。

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砲台跡

島には5つの砲台跡が残っている。レンガ造りのそれが「ラピュタ」と呼ばれる所以。

砲台跡などチェックポイントはそれぞれ約0.5~1kmほどの距離で点在していて、島巡りルートの時系列順で並べると、第2、第1、第5、第3砲台跡。(第4は帰りのフェリー時間の都合で回ることができなかった。天候のくずれからフェリー最終便が欠航になったのだ。)

 

「第3砲台跡」の弾薬庫は島で最も有名な場所。スペックから言っても最主力砲台だったそうだ。

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この弾薬庫の中は、学校の教室の半分くらいの広さで、誰でも自由に出入りすることができる。中は狭い通路で繋がっているが、もちろん暗闇。ひやっとするような冷たい空気が流れている。

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宮崎駿作品に度々登場する、異世界へ通ずりそうなトンネル道。『千と千尋の神隠し』や『崖の上のポニョ』のよう。

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反対側から見るとこんな感じ。

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かつて大砲を鎮座させていた砲座場所は、大きな水溜まりとなっていた。

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様々なところが木々に侵食されている。

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この砲座は複数所あり、それぞれ隣の砲座場所とトンネルで結ばれている。

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更に通路の中腹には地下へ降りる階段があり、細い通路とだだっ広い空間があったが、暗すぎて撮影できなかった。

スマートフォンを電灯にして地下を進んだが、もし途中で切れたら暗闇過ぎて詰んでしまう。ポケモンでいうとフラッシュを使わずに通るイワヤマトンネルみたいなもので、あなぬけのひもを用意しておくべきだった。

 

「第1砲台跡」は立入禁止区域となっていた。

あぁきっとこの赤い鉄扉を開けて向こう側へ抜けると、少年少女は異世界に行っちゃうからなんだろうなと理解した。

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無論、中は暗い。

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第2砲台は、島の端っこにあり、パズーとシータがラピュタに上陸した地点をなんとなく思い出した。たまたま人が少し多くてうまく写真が撮れなかった。

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比較的険しい山道の先にある「旧海軍聴音所跡地」。敵艦や潜水艦のスクリュー音などを察知し発見する任務を負った場所。砲台跡が陸軍のものであるのに対し、この場所は海軍のものだった。

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探検レポは以上。

フェリーは往復で2000円。日帰りで行ける廃墟島はとてもたのしかった。

桜が綺麗でした。

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ブログにあげることを逆算してちゃんと写真撮っておけばよかったなぁと家に帰ってから思いました。

次回の探検レポに活かしたいです。

 

<了>

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友ヶ島ラピュタとして楽しむという行為は、一種の“聖地巡礼”。

文芸評論家の福嶋亮大曰く、<聖地巡礼は現実の「いま」(正史)に対してなんらかの架空の起源(偽史)を与える偽史的想像力のひとつ>とのこと。

なんでもない道や橋に、<アニメに登場した道や橋が現実に今ここに在る>という新しい意味を吹き込むことによって、価値が生まれる。

 

しかし、友ヶ島はなんでもない島ではない。そこには歴史が在る。実戦に使用されることがなかったとはいえ、島自体が戦争に巻き込まれた歴史そのもの。

ラピュタジブリだときゃっきゃ言いながら島を巡っていたが、山中にいくつもの壕を見掛けた。

この島に観光にやってくる若い人たちのほとんどは、実際の歴史的背景への想像はほどほどにして、その上からラピュタというポップカルチャーによる偽史的想像力を働かせているだろう。もちろん僕もそう。思いを馳せる先は、70年以上前の戦争ではなくパズーやロボット兵に向けられる。

 

友ヶ島が地上のラピュタとして公式にPRしていないのは、そういう後ろめたさもあったりするのだろうか。

港までの唯一の公共交通手段である南海加太線は『加太さかな線プロジェクト』を企画、<魚の町>であることをアイデンティティとしている。一貫して友ヶ島ラピュタ島という観光スポットとして売り出すつもりはないようだった。もちろんその路線で途中下車してほしいという理由もあるだろうけど。

 

それでもやっぱり人を呼べるというのは価値があると思う。

写メるべき被写体がはっきりしていて、誰もが一目で魅力が伝わる。とてもSNS/インターネットと相性のいい観光地だと思う。

もっともっと推してほしい。

<了>