無印都市の子ども

まなざしのゆくえ

【欅坂46】世界には愛しかないって、平手友梨奈がそう言うのなら。

 

欅坂46の2ndシングル『世界には愛しかない』のMVが公開されました。

この曲と映像がとても最高だったので、今回はその最高さについて語り、ひいては平手友梨奈さんの美しさについて語っていきます。前回同様、今回も<一人対談形式>で展開していきます。

 

前回(サイレントマジョリティー)の記事はこちら。↓


司会者「では、よろしくお願いします。まず確認なのですが、潮見さんはもしかして欅坂46がCDをリリースする度に記事をお書きになるつもりですか?」

潮見「そうかもしれません。というかそうですね。欅坂46がわくわくするような音楽を出し続ける限りは、これからも語っていこうかなと思っています」

司会者「不定期連載企画ということでよろしいでしょうか」

潮見「そうですね。気が向いたら更新する、今やってる「本棚解析シリーズ」みたいな感じで「欅坂46・平手友梨奈最高シリーズ」を書いていきたいです」

 

司会者「まず、前回のシングル曲と潮見さんのブログ記事を振り返っていきます。2016年4月6日にリリースされた欅坂46の第一弾シングル『サイレントマジョリティー』は発売から一週間も経たずに25万枚を越え、女性アーティストのデビューシングル初週売上の歴代記録を更新という大きなヒットとなりました」

潮見「Youtubeも再生回数1700万回以上ですね。期間限定公開のはずが、再生回数がすごすぎてヘタに消せない空気になってしまいましたね」

 

 司会者「その中で潮見さん(25歳)はセンターの平手友梨奈さん(当時14歳)に恋に落ち、前回の記事で熱く語りました」

潮見「年齢の表記はやめてください。欅坂について書いた記事は、意外と欅坂ファンの方にも好評でとても嬉しかったです。ナミさんという方のコメントが特に嬉しかったですね」

潮見「デビューシングルが圧倒的に完成度が高く、売り上げも伴っている――それはもちろんとても良いことなんだけど、そうなるとセカンドシングルをどうするのか?というのが大きな問題として立ちはだかる」

司会者「サイマジョが良過ぎただけに、セカンドへの期待やハードルはすごく上がってましたもんね」

潮見「うん。まさか同じテイストの曲をもう一度歌うような愚策を秋元康が取るわけがないし、じゃあ普通のアイドルソングを出せばいいのかというとそれは絶対に禁手で、せっかく完璧に築いた欅坂の第一印象がブレてしまって、グループの魅力が薄まってしまう」

司会者「8月リリースということできっと夏曲になる可能性が高いと予想されていましたが」

潮見「それが最大の不安要素で、何故なら秋元康の描く夏曲は微妙なのが多いから」

司会者「それ言っていいんですか」

潮見「事実だもん。まぁ個人の感想ですけどね。そんなわけで、フィギュアスケート選手の演技を見守るみたいな気持ちで、「どうかこけませんように><」とドキドキしながらセカンドを待ち望んでいました」

司会者「そんな心境で聴いた『世界には愛しかない』はいかがでしたか?」

潮見「そりゃもう最高でした!!!!!!」

 

 

世界には愛しかない

司会者「大方の予想通り、夏曲でしたね」

潮見「疾走感というか、爽快感というか、涼しげな風がすっと通る夏歌になっていますね」

司会者「MVの仕上がりはどうでしょう。『サイレント・マジョリティー』と同じく、池田一真が手掛けました」

潮見「サイマジョというより、マネキンに近い映像になってますね」

司会者「乃木坂46の4thシングル『制服のマネキン』ですね」

潮見「この曲が欅坂46のトータルコンセプトに与えた影響は途轍もなく大きそうですね」

司会者「確かに欅坂のクールさはここに由来してそうですね」

潮見「この曲によって予想以上に強固なコンセプトとイメージが具現化できてしまって、これを軸に一つグループ作れんじゃねーか、という感じで打ち出したのが“欅坂46”。のような気がする」

司会者「気がする笑。『制服のマネキン』のMVも池田一真監督の作品ですね」

潮見「女の子が出演するだけのMVは腐るほどありますけど、踊る女の子を本当に美しく映像に残せる監督って実はそうそういないと僕は思っていて。僕の知ってる中では、このMVを手掛けた池田一真と、東京事変のMVやユニクロのCMなどを手掛けていた児玉裕一くらいです。児玉裕一の『閃光少女』は最高傑作ではないでしょうか」

 

司会者「この曲の最も特徴的な部分である“語り”はどうでしたか?」

潮見「46グループはたまに飛び道具で仕掛けるみたいですね。どちらかというと僕は、“語り”の直後にある<ただじっと眺め続けるなんて 出来やしない>のフラットな歌い方のほうがツボでしたけど、今回の“語り”は一つの飛び道具としてとても良いと思います。シュール過ぎるとおかしくなりますもんね、乃木坂のポピパッパパーとか」

司会者「さっきからちょっとディスが多いですね」

潮見「いや、でもそれは仕掛けようとして失敗しただけなので全然OKだと思うんです。仕掛けたらスベることもあるし、今回のような成功もある。スベること恐れたら何もできませんからね」

司会者「スベったというのはあくまで潮見さんの主観でしかありませんが」

潮見「そうっすよ」

司会者「いずれにせよ仕掛けることは大事と。とはいえ完璧なデビュー曲の直後にスベるわけにはいきませんよね」

潮見「そうですね。だからこそ今回は英断だったと思うし、改めて最高だなって」

 

 

愛しかない世界で

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司会者「秋元康は58歳。相変わらずピュアな歌詞を書きますね」

潮見「心の中に童貞を飼ってますよね。リトルやすす」

司会者「世界には愛しかない。と言い切っています」

潮見「そんなわけないですよね。愛以外もありますよ、当たり前だけど」

司会者「例えば?」

潮見「嫉妬とか欲とか」

司会者「あまりいいものではないですね」

潮見「つまり“愛しかない世界”というのは、秋元康が信じたい理想だと思うんですよ。いつかのAKB総選挙で大島優子が「票数は愛だ」と発言したように、<人を突き動かすものは、世界中探しても愛しかない>という理想。本当はそうじゃないけど、そうあってほしいという願い。絶対届かない理想だと分かってるけど、それでも信じて手を伸ばす」

歩道橋を駆け上がると
夏の青い空がすぐそこにあった
絶対届かないって分かっているはずなのに
僕はつま先で立って 思いっきり手を伸ばした

『世界には愛しかない』 - 欅坂46

司会者「そうあってほしいと願い続けているから、どこかピュアさが残っているのでしょうか」

潮見「でも58歳の小太りのおっさんがそんなこと言ってたらたぶん笑っちゃいますよね」

司会者「笑われるかもしれませんね」

潮見「綺麗事だと言われたとしても、誰かが言わなくちゃいけない理想を大きな声で叫ぶことができるのは、アイドルだけが担える役割の一つかもしれませんね」

 

 

 

平手友梨奈は夏の夢を見るか?

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潮見「たとえば、人の寿命は80歳くらいですか」

司会者「それくらいですね。もう少し長かったかもしれませんが」

潮見「ということは、僕たちが過ごせる夏は80回しかないわけですよ。何度も何度も季節を回帰して、君も僕も80回の夏を過ごす」

司会者「そう言われると人生って短いなと思いますね」

潮見「80回。当たり前な話ですけど、同じ80回なわけではないですよね」

司会者「毎回違いますね」

潮見「体感する夏そのものが違うと思うんですよ。例えば10歳の頃には分からなかった夏の切なさを、25歳の夏では体感できていたりするわけだけど、逆に10歳でしか感じ取れない夏の匂いや空気感というものがあって、それは25歳の夏の中にはもう見つけられない。同じように60歳になれば分かる夏、感じ取れなくなる夏がある」

司会者「つまり80回という数量限定であるという以前に、そもそもこの一回一回の夏がどうしようもなく一回限りだと」

潮見「そんな刹那的な美しさの只中で踊る女の子たち」

司会者「最高ですね」

潮見「うん、でも同時に残酷なのかもしれない」

司会者「残酷?」 

潮見「自覚的なのか無自覚なのか分からないけれど、平手ちゃんは一度きりの夏を踊るわけですよね」

司会者「なぜ平手友梨奈さんだけ・・・笑」

潮見「いや、平手ちゃんだけでなくてみんななんですけどね。秋元康の描く夏は、それが永遠には続かないことを知っていて、刹那的な美しさであることに自覚的だと思うんです。例えば『ポニーテールとシュシュ』の最後の大サビはそんなことを逆説的に歌っている」

ポニーテール(ほどかないで)
変わらずに
君は君で(僕は僕で)
走るだけ

ポニーテール(ほどかないで)
いつまでも
はしゃいでいる
君は少女のままで

ポニーテールとシュシュ』 - AKB48

潮見「この歌詞を書いた秋元康は、女の子が“いつまでも”“変わらずに”“ポニーテール”でいるわけではないと知っていますよね」

司会者「“いつまでも”“はしゃいでいる”“少女のままで”、いるわけないですもんね」

潮見「今しかないということに最上級の価値があると位置づけて、平手ちゃんをはじめとする欅坂のアイドルたちはそれを体現する。どうしようもなく一度きりの季節の中で、届かないと分かっていても尚、空に手を伸ばす」

司会者「それが平手友梨奈の描く夏ですね。今回の総括は、どうしようもなく一度きりの季節の中で、届かないと分かっていても尚、平手友梨奈は空に手を伸ばす

潮見「とても青春だと思いました」

司会者「次回は3rdシングルで会いましょう。ありがとうございました」

潮見「ありがとうございました」

<了>

世界には愛しかない(通常盤)

世界には愛しかない(通常盤)