無印都市の子ども

文学と音楽とポップカルチャー系

2017年の音楽ベスト10

 

なんやかんやで恒例になった「年間ベスト10曲」。今年はポップなアーティストが並びました。電車の中とか、トイレの中とか、ふわっとした時間に読んでくれたら幸いです。

 

* * *

 

1.『MODERN TIMES』- PUNPEE

MODERN TIMES

MODERN TIMES

 

 

2.『人生は夢だらけ』 - 椎名林檎

人生は夢だらけ

人生は夢だらけ

 

 

3.『記念撮影』 - BUMP OF CHICKEN

記念撮影

記念撮影

 

 

4.『This moment』 - LOVE PSYCHEDELICO

LOVE YOUR LOVE【通常盤】

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5.『RAIN』 - SEKAI NO OWARI

RAIN (通常盤)

RAIN (通常盤)

 

 

6.『惑星タントラ』 - MONDO GROSSO

何度でも新しく生まれる

何度でも新しく生まれる

 

 

7.『目抜き通り』 - 椎名林檎トータス松本

目抜き通り

目抜き通り

 

 

8.『流動体について』 - 小沢健二 

流動体について

流動体について

 

 

9.『所縁』 - 阿佐ヶ谷ロマンティクス

街の色

街の色

 

 

10.『フクロウの声が聞こえる』 - 小沢健二SEKAI NO OWARI

フクロウの声が聞こえる(完全生産限定盤)

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10.『エキセントリック』 - 欅坂46

真っ白なものは汚したくなる (Type-A)(DVD付)

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1.『MODERN TIMES』- PUNPEE

司会者「今年から年間ベスト10曲の記事も「ひとり対談形式」で書くことになりました。よろしくお願いします。」

潮見「よろしくお願いします。」

司会者「潮見さんが選ぶ2017年の第1位はPUNPEEの1stアルバム『MODERN TIMES』ということで。トラック単位で10曲を選ぶランキングなのに、第1位がアルバムなんですね…。」

潮見「どの曲もめちゃくちゃ良かったんですよ。アルバム全体ひっくるめてすべてが最高でした。」

司会者「これまでヒップホップを聴いてこなかった潮見さんに、なぜPUNPEEがそんなにハマったんでしょうか?」

潮見「ヒップホップに関して今年はミーハーでにわかなスタンスでいろいろ聴いてきたのですが、ヒップホップってJ-POPやロックバンドの言葉に比べると割とハイコンテクストな部分が多いんですよね。はっきり言ってしまえば、分かるやつだけ分かればいいみたいな部分が。」

司会者「そうですね。特にPUNPEEさんはアメコミや映画をはじめ様々な文化への造詣が深い人ですし。」

潮見「でも彼の音楽はそういう文脈的なものに頼りっきりにならず、常に開かれていて、なおかつ野暮ったくならずに音が洗練されていたんです。」

司会者「ライブにも行ったんですってね。」

潮見「ライブはあまり行かない派なんですけど、これは観とかなあかん!ってやつは観に行くんです。去年は小沢健二、今年はPUNPEEでした。」

司会者「アルバムの中から強いてトラック単位であげるとなるとどの曲になりますか?」

潮見「『Lovely Man』『Scenario(Film)』『Oldies』ですね。」

司会者「特に『Scenario(Film)』なんかはそうですけど、PUNPEEさんは要所要所でエモーショナルな言葉や音を鳴らしますね。」

潮見「最高ですよね。」

司会者「最高です。」

潮見「でも実はRAU DEFくんと一緒にやってる『FREEZE!!! feat.Sugbase』『STARZ(feat.PUNPEE)』『Players Anthem(feat.Sugbase)』も最高でして、まぁ去年一昨年の曲だったりするんですけど、それらもすべてひっくつめて第1位PUNPEE!!!ということでお願いします!」

司会者「はいはい。」

 

 

2.『人生は夢だらけ』 - 椎名林檎

潮見「この記事を書き終えようとしていたところに、すんごいのが飛び込んできて、2位に滑り込ませてしまった。」

司会者「椎名林檎らしいメロディーと歌詞ですね。」

潮見「椎名林檎の哲学はデビューから一貫していながらも、とんでもないレベルでアップデートされていくので、頂が見えない…。」

こんな時代じゃあ 手間暇掛けようが

掛けなかろうが 終いには一緒くた

きっと違いの分かる人は居ます

そう信じて丁寧に 拵えて居ましょう

司会者「えげつないですね。」

潮見「この言葉は心に秘めておきたいやで。」

司会者「そんな感じですね。」

潮見「そういえば去年の冬にはてな匿名ダイアリーに文章を投稿したんですけど、それを書いてたときの感覚に近いんですよこの歌詞。今欲しいってところに欲しいものを届けてくれた気がします。」

司会者「なるほど。」

潮見「匿名ダイアリーの記事はnoteに転載したので、気が向いたら読んでみてください。」

司会者「しかしあれですね。椎名林檎小沢健二の歌詞は、読もうとすると頭がフリーズしてしまいますね。」 

潮見「ふたりとも来年以降もまだまだ活発に活動してくれそうですし、嬉しい限りです。」

 

 

3.『記念撮影』 - BUMP OF CHICKEN

司会者「昔から潮見さんは「BUMP OF CHICKENについては思い入れが強すぎて何も書けない」と言ってましたが、ついに書きましたね。」

潮見「たくさんの人に読んでもらえて本当に嬉しかったです。ゲロゲロ泣いたとか、青臭くて好きとか、吐きそうとか、いろいろ感想を寄せてくれるのがね、嬉しくて嬉しくて。」

司会者「いろんな人の感想ツイートをたくさんふぁぼってましたね。」

潮見「あぁ、ちゃんと伝わったんだなぁと。やっばり同世代は自分と似たような感情を抱いているんだなぁと。嬉しかったですね。特に生湯葉シホさんは素敵な文章を書くライターさんなので、コメントを見た瞬間に「わぁ…」って声が出ました。あと、はてなブログとか普段読んでいないだろうなぁって人たちにもちゃんと届いたのもやっぱり嬉しかったです。」

司会者「『記念撮影』に関してはどうですか?」

潮見「はい、本当は先の記事にも書きたかったことなんですけど、ライブに行こうと思いついたきっかけが『記念撮影』だったんです。」

司会者「ほう。」

潮見「突然ですけど、10代の頃って自分もBUMP的な何かになれるんじゃないか?って思ってませんでした?」

司会者「思ってませんでした。」

潮見「ぼくはバカなので思ってました。でも今はもう大人になって、その可能性は潰えたんですよ。」

司会者「そうなんですか」

潮見「どこかで可能性がパッと散ったわけではなくて、そんな可能性を夢見ていたことすら忘れてしまっていたんです。」

司会者「はい。」

潮見「でも『記念撮影』で改めて、あぁそういえばBUMP的なものになれずに大人になったなと思い知らされた気がしたんです。」

司会者「なるほど。」

潮見「大人になるってことは、つまり、できることとできないことがはっきりと分かってゆくことじゃないですか。」

司会者「そうですね。」

潮見「両手いっぱいにあったはずの可能性は、今となっては痩せ細るばかりで。自分にはできないことがひとつひとつ判明していくことは絶望的なことかもしれないけど、でも、できることが判明していくことは嬉しいことですよね。」

司会者「そうですね。」

潮見「余談なんですけど、いや余談ではないんですけど、「諦める」って言葉の語源は「明らむ」、つまり「物事を明らかにする」という意味から来ていて。諦めることで、ひとつひとつが明らかになっていくんです。」

司会者「明らかになるから諦められるんですもんね。」

潮見「だから、諦めることは決して悲観的な話とは限らないんですよね。できることも明らかになっていくわけだし。ひとつひとつ整理がついてゆくわけです。」

司会者「なるほど。」

潮見「自分はどうしたってBUMPにはなれない。それがちゃんと明らかになって、ちゃんとBUMPと自分のあいだに距離ができたから、あぁ今ならライブに行ってもいいなと思った感じです。」

司会者「”BUMPと自分のあいだに距離ができた。”それに尽きますね。でも潮見さんね、そういうことを言うから青臭いブログだって言われるんですよ」

潮見「いや、むしろ望むところです。『無印都市の子ども』はそういうところです。インターネットはそういうのを読んだり書いたり、するところです。」

 

 

4.『This moment』 - LOVE PSYCHEDELICO

潮見「LOVE PSYCHEDELICO、ずっとかっこいいし、割と昔から好きだったんですけど、どの曲も満遍なく好きだったんですね。そしたら今年飛び抜けてこの1曲が刺さったんです。」

司会者「はい。」

潮見「この曲聴きながら一人で街歩いてるとね、なんというか、嬉しいことも悔しいこともちゃんと噛み締めて生きていかないとダメだなと思えてくる。」

司会者「ちなみにこの曲2016 年発表のものですけれども。」

潮見「アルバムは今年出たんで許してください。」

 

 

5.『RAIN』 - SEKAI NO OWARI

司会者「潮見さん、セカオワ好きですよね。」

潮見「いま日本で最も過小評価されているアーティストだなと思います。『RAIN』の歌詞はFukaseとSaoriの共作なのですが、どちらがどの部分の歌詞を書いているのか、ある程度は予想がつくくらいには好きです。」

司会者「まじですか。」

潮見「Aメロで解説すると、1番のAメロ<魔法はいつか解けると僕らは知ってる>というキャッチーなワードセンスはFukase、2番のAメロ<真っ白な夜に遠くを走る汽車の影 静寂と僕ら残して過ぎ去っていく>という技巧的な匂いの残る言葉はSaoriです。」

司会者「なるほど。」

潮見「たぶんですけどね。」

司会者「たぶんですか。」

潮見「ところで、この『RAIN』なんですけど、CDリリース日が2017年7月5日でして。」

司会者「はい。」

潮見「BUMP OF CHICKEN『記念撮影』の配信開始日も2017年7月5日なんです。」

司会者「同じ日ですね。」

潮見「示し合わせたわけではないでしょうけど、両者とも<いつか魔法は終わる>ことを歌っているんです。」

司会者「BUMP OF CHICKENは<終わる魔法の中にいた事>、SEKAI NO OWARIは<魔法がいつか解けると僕らは知ってる>ですね……。」

潮見「魔法がいつまでも続くわけじゃない、というスタンス。」

司会者「魔法と言えば、今年大森靖子とYogee New Waveの騒動をきっかけに「音楽は魔法か否か?」というのが話題になりましたね。潮見さんはどうお考えですか?」

潮見「音楽は魔法じゃないけど、魔法だと言い張っていくことで魔法っぽいものになり得るんじゃないですかね。」

司会者「魔法じゃないものを魔法だと言い張ると。」

潮見「うん。でもだからって僕がYogee側かっていうとそうではなくて、魔法だよと素敵な嘘を吐き続けることも音楽だし、魔法じゃないと告発し続けることも音楽だと思います。」

司会者「Yogeeもいて大森靖子もいるから面白いわけですもんね。」

潮見「ただ、魔法じゃないものを魔法だと言い張るっていうのは無理をしているってことなので、いつまでも永久的に説得力を持ち続けるわけではないんですよね。いつか解けるものなんだと思います。」

司会者「なるほど。魔法的なものを魔法だと言い張るけど、それはいつか解ける…。BUMP OF CHICKENSEKAI NO OWARIの歌詞のようですね。」

潮見「そうそう。Yogee・大森騒動は、SEKAI NO OWARIBUMP OF CHICKENの歌詞に妙に繋がっているんですよ。しかも今年SEKAI NO OWARIとコラボした小沢健二が去年おこなったライブツアーの名称は「魔法的」でしたよね。魔法的って、つまり魔法っぽいけど魔法じゃないって意味ですよね。」

司会者「なんか混乱してきましたが、SEKAI NO OWARIBUMP OF CHICKEN小沢健二が「魔法は終わる」というキーワードで繋がってきた2017年だったと。」

潮見「はい。「魔法」という言葉は、たぶん音楽だけではなくて、もっと社会的に大きな意味を帯び始めた気がするんですよね。来年以降もちょっと気に留めておきたい言葉であります。魔法。」

 

 

6.『惑星タントラ』 - MONDO GROSSO

司会者「乃木坂46の斎藤飛鳥さんがボーカルを務めた楽曲ですね。」

潮見「MONDO GROSSOの楽曲のかっこよさはもちろんのこと、特筆すべきは斎藤飛鳥の声の浮遊感ですよね。感情を込めない歌い方をする人はとても好きです。斎藤飛鳥さんには乃木坂を卒業したあとに自身をボーカルに据えたユニットを組んでほしいです。エイベックスとかで。」

司会者「SONYでお願いします。」 

 

7.『目抜き通り』 - 椎名林檎トータス松本

司会者「さすが林檎先生ですね。」

潮見「すごすぎて意味わかんない。<あの世でもらう批評が本当なのさ>ってなんですか。やべえですよ林檎先生。とにかくポップでハピネスで生死の匂いも醸し出して…。まさしく夢現つな世界観で、刹那と永遠が共存しているようだ……みたいな感じでロキノンっぽいことを真面目に言いたくなる。元々バケモノですけど、近年の椎名林檎のクリエイションはちょっと異常ですね。」

司会者「そういえば去年、潮見さんこんなことを言ってましたね。」

潮見「今もこの感覚です。本来はウラでやるようなことを、めっちゃオモテの舞台でやってしまっている椎名林檎。」

司会者「なるほど。本来は裏通りの人なのに、目抜き通りへ飛び出してきちゃったんですね。」

潮見「うまいこと言いますね。」

 

 

8.『流動体について』 - 小沢健二

潮見「オザケンイズカミングバック!!!」

司会者「潮見さん、小沢健二についてツイートするときはいつもより「!」が多くなるの知ってました?」

潮見「ほんとですか。」

 

 

9.『所縁』 - 阿佐ヶ谷ロマンティクス

司会者「PUNPEEを除けば、唯一、新しく発見したアーティストですね。」

潮見「名前が抜群にいい。」

司会者「阿佐ヶ谷ロマンティクス。」

潮見「その名に恥じない楽曲とボーカル。グッドでした。去年のHomecomingsに続いて、また新しいバンドを見つけられたわけだけど、こういうバンドはもっとたくさん知りたいところではあります。もっと教えてください。」

 

 

10.『フクロウの声が聞こえる』 - 小沢健二SEKAI NO OWARI

司会者「SEKAI NO OWARIとのコラボには賛否が飛び交いましたね。」

潮見「小沢健二にとってはこれ以上ない相手とのコラボだと僕は思うんですけどね。」

司会者「そうですね。」

潮見「このコラボのあと、SEKAI NO OWARIはヒカキンとコラボ動画をあげて、小沢健二岡崎京子の原作『リバーズ・エッジ』の主題歌ですから、両者ともバランス感覚が素晴らしいですね。」

司会者「とりあえず、この楽曲に関しては過去記事参照ということで。」

潮見「はい。Mステに出たときのやつですね。」

 

 

10.『エキセントリック』 - 欅坂46

潮見「10位タイということでこれも入れます。」

司会者「欅坂46、4thシングル『不協和音』のカップリング曲ですね。」

潮見「楽曲のクールさももちろんですが、靴を振り回したり、ガニ股で踊ったり、変であることを恐れない姿勢がかっこいいと思いました。」

司会者「そういえば欅坂がシングルリリースするたびに記事を書いてましたけど、この4枚目から書いてませんね?」

潮見「『不協和音』があまりによくなかったので気持ちが切れてしまいました。どう考えても『エキセントリック』が表題作になるべきだった…。あ、でも欅への関心は全然冷めてませんよ。『風に吹かれても』もかっこよかったし、MVは最高だった。「欅って、書けない?」も観てます。」

司会者「ひらがなの増員で新顔がとても増えましたが、気になる子はいましたか?」

潮見「けやき坂46・2期生の丹生明里さんですね。めっちゃかわいい。」

 

* * *

 

司会者「ではそろそろ締めますが、何か一言あれば。」

潮見「毎年こんな感じで10曲選んでるんですけど、年が明けてから「去年こんなのがあったのか!」ってよく気づくんですよ。2016年で言うと、江本祐介『ライトブルー』やサニーデイ・サービス『セツナ』、くるり琥珀色の街、上海蟹の朝』などなど。今年もたぶんたくさんあると思うので、潮見くんこれ好きくない?ってやつがあればいろいろ教えてほしいです。Twitterでも、ブログのコメント欄でも、はてなブックマークでも。」

司会者「はい。今年はめっちゃ語ってしまったので、読んでくださった方は少し疲れてしまったかもしれませんね。」

潮見「じゃあ最後に癒やしとして、けやき坂46・丹生明里さんを拝んでお別れしましょう。」

司会者「お疲れ様でした。」

潮見「お疲れ様でしたー。」

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丹生 明里 | 欅坂46公式サイト

 

<了>

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