無印都市の子ども

まなざしのゆくえ

歩調

冬の歩調

ーー確かにお前の言う通り、冬はたぷたぷした猫と暮らしたくなるね。 * 夜中の静かな高速道路を走っている。子どもの頃は後部座席のまんなかに座り、ブレーキランプの赤が連なる車列を眺めながら「いま誰が先頭を走っているんだ?」といつまでも考えていた…

秋の歩調

秋の気候が好きだ。気分だけでなく体調もよくなる。自軍の色のインクのなかを泳ぐスプラトゥーンのような軽やかさで、駅の階段をタタンタタンと小気味よく降りている。夏の倦怠感はきっと、からだに敵軍のインクがまとわりついていたんだろう。わかばシュー…

夏の歩調

次の営業先に向かう途中、西中島南方のファミリーマートに寄ると、店の奥のでかい冷蔵庫がほぼほぼからっぽだった。冷蔵庫の扉には手書きの貼り紙が貼ってあり、昨夜の淀川花火大会の影響であらゆる種類の飲料水が品切れていると書いてあった。今晩には再入…