大阪梅田の阪急ビルオフィスタワー17階にあるNHK文化センターなる教室で行われた社会学者・古市憲寿さんのお話を聴きに行ってきました(学生は無料!)
古市 憲寿(ふるいち のりとし、1985年1月14日 - )は日本の社会学者 [1]。現在東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。慶應義塾大学SFC研究所訪問研究員(上席)。有限会社ゼント執行役。東京都出身。現代日本の若者をテーマにした著作を発表している。(wikipediaより)
いよいよ明日!「NEWS WEB24」ナビゲーターの社会学者 古市憲寿さんが現代の若者をとりまく問題と彼らが実際に抱いている思い、これからの時代の生き方などについて皆さんと一緒に探ります。 @poe1985 【梅田教室 10/20】 bit.ly/T89Hee
— NHKカルチャー (NHK文化センター)さん (@nhkcul) 10月 19, 2012
Twitter経由で動員されてきました。こういう講演を元に文章を書くのは初めてなのでうまく書けないと思うけど、メモった事と自分が考えたことを入り混ぜながらフワっと書いていきます。
参加人数は50人ほどで、なんと10代~80代まで幅広い層の人間が集まったそうです。パっと見ですけど、中年(という分類でいいのかな・・・)が5割、大学生っぽい若者(!)が4割、おじいちゃんが1割。そんな感じでした。
そこにすっごいオドオドした感じで古市さん入場。
古市さんの著書『絶望の国の幸福な若者たち』は60代の男性によく読まれているらしく 、古市さん本人いわく、「朝日新聞を読んでるような人が買ってる本」だそうです。
- 作者: 古市憲寿
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/09/06
- メディア: 単行本
- 購入: 20人 クリック: 577回
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『絶望~』の内容をざっくり書くと、“失われた20年”と呼ばれるバブル崩壊後の不況や雇用情勢不安など困難な状況を生きる若者は将来に希望が持てず不幸だと言われるが、逆に若者の幸福度は上がっている。
「何を考えてるのか分かんない」と言われる若者の現状はこんな感じだよーっていう本です。
●インターネット社会
昔若者だった人達と今の若者の大きな違いの一つが「インターネット」というインフラが存在すること。「2ちゃんねる」に代表されるような匿名のやり取りではなく、現実世界での人間関係をそのままネット上に構築して利用している。代表されて言われるのはFacebookやmixiなどのSNSサービス。
友人たちとネット上で繋がり、絶えず「友達だよね」と確認し合う。昔で言う「年賀状」がそれに近いらしい。
古市さんの口からは出てこなかったけど、LINEというサービスが今の高校生の中では一番使われている印象。僕の弟(高校生)はLINEを利用しているのだけれど、クラスメイト39人中32人がLINEを利用しているらしい。 ネットと現実世界はほぼ完璧にリンクしていて、ネット上に「コミュニティとしての教室」が存在する。
ネットリテラシーという意味ではむしろ年配の人がFacebookで「それ大丈夫か?」というような内容をアップしていて、若者のほうが慎重。
●消費
若者がモノを買わないと言われ、なんでもかんでも「若者の○○離れ」と揶揄される。よく言われるのが自動車。
古市さんは「別に若者がモノを買わなくなったわけではなく別のものにお金を使っていて、ステータス(自動車など)ではなく友達と繋がるもの(ケータイ通信料、友人との旅行)にお金を払っている」と言う。自分のための消費ではなく、コミュニケーションを誘発してくれる消費をする。
面白かったのは古市さんは自動車免許(しかもミッション)を取得しているらしい。その事に関して「今時ミッションで取るのはヤンキーだけだと言われた」と笑いをとっていたが、僕はオートマ免許を取りに行った地元の教習所で仲良くなった男の子に「男でオートマって恥ずかしいらしいで?」と言われたのを思い出した。これはやっぱり東京と地方の差なんだと僕は思う。いや、もしかしたら彼はヤンキーだったのかもしれない。
●社会貢献
ボランティア・社会貢献の意識が上がっており、一番低かったのはバブル世代。
貢献度が分かりやすい海外ボランティアなどに人が集まっている。身近な問題よりも海外のほうが「リアリティ」が感じられるから、だそう。(これもやっぱり東京の学生に多い風潮だと僕は思う)
“ボランティア元年”と言われる1995年は、確かにNPO法などが出来たが、実際のボランティア人数は増えていない。ボランディア活動が常態化せず、一過性のものが多い。
3.11の直後のそれぞれ地域の温度差があって、大阪はまだ街が明るく、少し無関心。
職業選ぶにも社会貢献したいという若者が増えているのだから、企業もそこを利用すればいいのに・・・とふわっと申す古市氏。
●意外に高い、若者の幸福度
高度成長期を過ごした若者よりも、今の若者のほうが幸福度は高い。
基本的に幸福度はU字型に曲線を描き、若い頃と年老いてから幸福度は高くなる。それは「将来に希望を失ったほうが幸福度は上がる」 ということだそう。
一番多いのは「そこそこ満足」という回答。それは、日本社会はこれ以上よくならないので、「この当たりで満足」というある種の諦め的な意味での満足/幸福。
僕は今21歳、たぶんそのアンケートを記入するならば「そこそこ満足」を選択するのだと思う。けれど、幸福度を訊かれた時に「これ以上社会がよくならない云々」なんて深い事は考えないと思う。「とりあえず今これといって不自由はない」という意味で僕は「そこそこ満足」を選択すると思うし、他の子もそういう選び方をしたんじゃないかと思う。僕らは「現状に甘んじるな!」みたいな空気の虚無感に気付き、「とりあえず今これといって不自由がない」事こそが幸福なのだに気付いた世代なんだと勝手に思ってる。J-POPの歌詞みたいですね。
●ぼんやりとした不安
高い幸福度とは裏腹に将来に不安を感じる若者はとても多い。
先が想像できないという漠然とした不安。雇用や社会そのものが沈んでいくのかもしれないという危惧など。
古市さんは「社会のダメなところ(あらゆるリスクやブラック企業の存在など)が見え過ぎているからこそ不安を感じるのでは」と言う。
僕も不安は感じるのだけれど、うーん、不安があるのってデフォルトなんじゃないんですかねぇ。それはどの世代もそうなのかもしれないし、もしかしたら僕ら世代は不況しか知らない“不況ネイティブ”だからそれをデフォルトだと感じるのかもしれない。
『希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想』に関するお話がこの後に続いたのだけれど、ちょっとぼーっとしてしまってメモるのを忘れ、正直文章に出来るほど覚えていません・・・。
うん、読みましょうね。↓
希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想 (光文社新書)
- 作者: 古市憲寿,本田由紀
- 出版社/メーカー: 光文社
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●親と子
若者である子どもの考えていることが分からない、何をしてあげればいいのか、という質問に対し、古市さんは「まずは自分のこと(介護の問題)を考え、残せる財産(漠然としたものではなく具体的なもの)を残すこと」だそうです。
親と子の価値観にズレがあるのも当然で、 絶対に正しいと言えることがない世界では、親も正しい指示が出せているという確信はない。ただでさえ親の古い価値観に基づいたものなのに、そんなふわふわした指示では子も納得するはずもない。
古市さんの「親に看取られて逝きたい」という発言に教室内が騒然としたのは内緒。
●これからの若者
近い将来、経済水準が下がった先に若者による暴騰が起きてもおかしくない、と言う一方で、貧困化し階級がくっきり分かれることによって、諦めから逆に幸福度が上がることもあると言う。
また、テクノロジーの進歩によりドラッグやサプリを使って低コストで人を生かせる世界になるかもという話はすっごく面白いと思った。
* * *
結局絶対安心なものなんて何一つないし、世代間の価値観や意識の差は埋まらない。
年配の方々が若者とその価値観に対して、理解できないだけで特に嫌悪感はないようだった。
同世代であっても東京と大阪ではやはり違っていて、僕の兄は古市さんと同い年なのだけれど、「東京に行ってなんかデカいことしたい」と考えるタイプだ。東京で流通した空気や価値観がタイムラグを経て地方に伝わるという構図は今も全然あると思う。東京の古市さん世代と、地方大阪の僕ら世代でちょうど合致するくらいなのかもしれない。
車持ってブランド持ってかっこいい消費をした上の世代よりも、恋人や友達との楽しい日常を優先する自分達世代の価値観を僕はとても気に入っているし、短い人生に対する極めて正しい姿勢だと思う。このまま楽しく過ごせたらいいけどそういうわけにもいかない。
だから不安はあるけどそれはデフォルト。「かわいそうだね」なんて言われても。。。
自分が生まれた時代が「幸福の国の絶望な若者たち」でなくて本当に良かったと思う。
絶望の国であろうと、あるいは国そのものが消滅しようと、「幸福な僕ら」が存在できればそれでいい。いいです。
そんなわけで、古市さんはテレビで観る通り、ちょっぴり早口のふわふわした口調で割とキツい一言を吐く人で、とても楽しい90分でした。
帰宅してすぐダーっと一気に書いたので読みにくいかもしれません。ごめんなさいね。
NHKカルチャー(NHK文化センター)では様々な講義を行っていて、基本的に学生は無料みたいです。結構有名な方がいらっしゃるようなので、僕もちょくちょくチェックしようかなぁと思っています。
ではでは。
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希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想 (光文社新書)
- 作者: 古市憲寿,本田由紀
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「嫌消費」世代の研究――経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち
- 作者: 松田久一
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
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