21世紀で最初で最後のみんなのうた
今、男性アイドルの頂点にいるのは、誰の目から見ても「嵐」です。
だけど、かつてのSMAPのような「国民性」を、嵐は得ていませんよね。
それは嵐が悪いってことではなくて、SMAPが特例的だっただけの話。
音楽に限らず、あらゆる趣味嗜好が細分化していく世間の中で、『世界に一つだけの花』という、みんなが知ってる歌を歌ったSMAPの功績は途轍もなくデカいです。
『世界に一つだけの花』は、たぶん21世紀で最初で最後のみんなのうた。
だけど、だけどもしも今、他でもない今、人気絶頂の今、嵐が『アオゾラペダル』をリリースしたら、SMAPにとっての『世界に一つだけの花』のような、国民的アーティストになるための大きなステップになっていたのではないかなぁと僕は思うのです。
SMAPのカラフルと嵐のカラフルの違い
『世界に一つだけの花』は、皆さん知っての通り、世界にはあらゆる色の個性があって、そんな多様性を肯定する歌です。
一方『アオゾラペダル』は、人はあらゆる色の過去を持っていて、そんな思い出や記憶のすべてを受け入れる歌なのです。
悲しいページなんて なかったことにしようとして
ぼくらはいくつも色をかさねてしまった
きっとぬりすぎた色って 白に戻れないけど
それでいい 新しい色で明日を描こう
ちょっとかっこいい言い方をすると、SMAPは「僕」の外側に広がるカラフルを歌い、嵐は「僕」の内側にあるカラフルを歌ったわけです。
『世界に一つだけの花』と『アオゾラペダル』に込められた価値観や思想は、根本的なことろで繋がっていて、コインの裏と表のような存在だと思うのです。
『世界に一つだけの花』がそうであったように、『アオゾラペダル』もまた老若男女に支持されるだけのポテンシャルを持った楽曲なのです。
それでも好きだよ、アオゾラペダル
『アオゾラペダル』の作詞作曲はスガシカオ。『夜空ノムコウ』や『Real face』の詩を書いた彼らしい名曲だと思うのですが、売り上げは伴いませんでした。
売上枚数は約150,000枚。
2006年度年間売上では51位。
ちなみに昨年2012年度の51位は指原莉乃の『それでも好きだよ』です。
『アオゾラペダル』がどうこうというよりも、2006年当時は嵐がまだまだな時期で、全体的に売り上げは低かったわけです。
数年前から、2006年当時では想像できなかった今の嵐の快進撃があって。
日本アイドル界の頂点に立ち、継続的に60万枚とか売上続けている今、この名曲『アオゾラペダル』をリリースすれば、『世界に一つだけの花』になれたんじゃないかと思ったわけです。
紅白のトリ
未だに嵐がNHK紅白歌合戦でトリを務められないのは、SMAPは然るべきタイミングで然るべき歌が歌えて、嵐は然るべき歌『アオゾラペダル』を然るべきタイミングで歌えていないという、この差なのだと思います。
逆に言えば、その差だけなのです。紅白の司会は務めているということは、スター性はあるってことなので、あとは楽曲ですよねってことです。
恋愛ソングではなくて、もう一度カラフルさを肯定するような楽曲を歌えたなら、今の嵐なら紅白のトリなんて簡単に務まるんじゃないでしょうか。
<了>
- アーティスト: 嵐,スガシカオ,youth case,小川貴史,石塚知生,ha-j,上野浩司
- 出版社/メーカー: ジェイ・ストーム
- 発売日: 2006/08/02
- メディア: CD
- クリック: 18回
- この商品を含むブログ (55件) を見る